バカだけどSF映画見てきた[竜とそばかすの姫]

竜とそばかすの姫見てきました。

前々からネットで色々と悪い感想は見てきたのですが、あーまぁこれはそうなるなぁといった印象でした。

私の感想も批判よりなので、楽しい!!!と思った方はその気持ちを大事にして、好きだと思ってくれている方と感想を共有して楽しんでください。

作品を面白いと思うかどうかはその人次第で万人にウケる作品でも面白くないと思う人もいれば、Z級映画でも面白いと思う人もいるんです。

それはその人が悪いわけではないんです。その作品をどう思うかはその人の自由です。

どうしてこんな事を書くかというと、私も色々と批判的な感想を書こうとしていましたし、批判的な他の方の感想を漁ったりもしました。

これって作品内で描かれてる事と同じだと思いました。

みんな好き勝手言って嫌いなものは叩いて炎上してそこまでしなくても良くない?ってくらい叩いてしまう。

なんというか自分の醜さを間接的に思い知らされた感じもありました。

竜とそばかすの姫が賛否両論なのはファンタジーで綺麗な映像と歌の中に、生々しい現実の問題が沢山散らばらられているからなんだなぁと個人的に思ってます。

現代だけではなく、Uというファンタジーな世界がある事によってよりその生々しさが強調されてる気がします。

本題からズレてる気がしてきたので、感想書いてきます。


長文になるのでポイントだけ抑えると、映像と歌は凄い良い!ただ脚本が生々しいところがあるのに所々ファンタジーという噛み合わなさ、登場人物に好感が持ちにくい、といったところです。


まず映像!!!!!

めっちゃ綺麗!!!!!!

ベルの中盤くらいのライブの水の質感と魚たちが泳ぐのが凄い綺麗でこれ全部CGなんだよね!?ってなりました。CG凄いなぁ未来感じるなぁ。

冒頭のCMでよく使われているベルから花が舞い散っていくシーンも歌も重なってめっちゃテンション上がりました。

ベルと竜のダンスシーンも薔薇がドレスに変わるのとかめっちゃオシャレ。

城に着く前にAI達に迷わされるシーンも映像が切り替わって別の場所になるのも綺麗。

語彙力ないからUの世界は全てが綺麗で表現されてしまう!!!!

それだけ映像はとっても綺麗でした、テンション上がりました。

次に歌!!!!!

私はアカペラに近い歌は苦手なんですが、ベルの歌はすごい好きです。CDあるなら買ってしまう。もう売ってるのかな?

最初のリズミカルな歌も好きです。

Uに初めてきた時の訴えかけるような振り絞るような歌も好きです。

竜に向けた歌も状況も相待ってとっても素敵でした。


ここまで絶賛なのにどうして批判よりなのか。


この素晴らしい映像と歌に対してのストーリーが辛すぎるんです。


まずベルであるすずの母親は他人の子供を助けようとして死にます。それならまぁ白状ですけどよくあるシーン……よくあるといいたかないですけど、よくあるシーンです。私の心を貫いたのはすずが行かないで!!!と言った事なんです。これって凄い辛すぎるんですよ。母はあんなに実の子供である自分が止めても行ってしまった上に死んでしまった。その子を恨むかもしれない、もっと強く止めればなんて後悔しまくったかもしれない。私にはそういった経験がないからすずの気持ちは全くわからない。だけどすずが平気ではないのは、母が生きてた頃に努力して楽しんでやったいた音楽に対して、楽譜が書かれている紙があっても、その上から赤や黒の鉛筆でぐちゃに塗りつぶされていて、しかもそれが沢山あるってのでわかります。その後にもカラオケで同級生に嫌だといってるのに連れていかれ、無理矢理歌わされそうになり、逃げた上に川の上で吐いているシーンもあります。明言はできませんが、アプリに普通にピアノが入っている、電子ピアノがすんなり出てくる(ただでさえ田舎っぽそうなところなのに)、後ろの背景にレコード?か楽譜みたいな細い本が沢山ある、といった描写から、母親は音楽関係の仕事をやっていたのではないでしょうか。そんな音楽に対して拒否反応が出てしまう。これはハッキリいってカウンセリングが必要なんじゃないかってレベルです。見ていて凄い辛かったです。Uに出会う前は笑顔も少なかったですし。

そんなすずがUに出会って心から歌えるようになったのは嬉しかったです。他の人からうるさいとか心ない言葉がかけられても歌い続ける。クリオネちゃんが褒めてくれて認めてくれて、朝になってフォロワーが増えなくて結局……と思ってたところにクリオネちゃんがフォローしてくれる。すずに光が差し込んできたシーンです。芸術関連って理解者が1人でもいるだけでも違うと個人的な偏見を持っているので良かったね!!!ってなりました。

まぁそのあとバズバズしちゃってめっちゃ慌てるんですけど。そのあわあわさも女子高生らしくて可愛いとホッコリしました。

ただここで問題が出てきます。

友人の存在です。

彼女は結構毒舌で、すずは目立ちたがり屋ではないので、バズるのは本意ではない事を知っているのにバズらせた原因です。

彼女はベルが正体を表すとなった時にせっかく築いてきたのに!と言います。

彼女は自分の自己顕示欲にすずを巻き込んでいる気がするんです。

そこですずの正体がバレて現実で悪い影響が出るかもしれない的な言葉があれば違ったんですけど。

しかも問題はここで誰も身バレの危険性を心配しないんです。

誰一人として。

ここで提案したしのぶくんに対しても私はかなり不快感がありました。

ただでさえしのぶくんは不用意に声をかけたせいで、すずが沢山の女子にキレられて炎上した原因になっています。

しかもベルだと気付いていたとしても、あの他に誰かいるかもしれないところで、しかも車道を挟むという事は結構な大声で、ベルだろ、なんていうんです。

そんなデリカシーがただでさえないしのぶくんはネットリテラシーもないんか、とビックリしてしまいました。

まぁあの世界は結構顔出しが普通なところもあるのかもしれません。作中普通に顔出ししてる方もいますし。

そうだとしてもベルはめっちゃフォロワーがいる有名人です。

身バレする危険性が普通の人とは段違いだと思います。

それなのにすずのことを理解してるんだか理解してないんだかわからない彼がさらっと提案してしまう。

しかもその事に対して誰も身バレの危険性を心配しない。

どちらかというとすずのトラウマの方に目がいってますね。それも正しい事ですけども。

すずは歌いたくても歌えないといった感じは最初の方に描写されてます。ただこれ他の方と感想共有したら解釈分かれちゃってわかんない。

人がいるなら歌えない→合唱団では歌えているからそうじゃない

で良いんですが、

自分だから歌えない→Uでは別人になれるから歌えた

というのが他の方の意見で、私の意見は

母親に対するトラウマによって歌いたくても歌えない→Uは潜在能力を解放するらしいのでほれによって本心では歌いたいから歌えた

なんです。

私の解釈は母親が音楽関係やってるという予想に基づくもので正しいかはちょっと怪しい。

ただ他の方の意見に関しては、現実でも歌おうとはしてる場面があるので、自分だから歌えないというのは少し違うかも?と自分は思うんです。

で、ここで問題になるのが、私が正しいと主張しようとした事。どんどん話がずれていきますね。

これってジャスティンとかみたいなんですよ。相手は間違ってるから自分が正しいと知らしめようとしている。

最初にあんな注意書きに至ったのもこの事があったからなんです。

今作はネットの汚さもめっちゃ書かれてるんです。

すずの母親の事、竜の児童虐待の事、これも生々しいんですが、Uの描写によるネットの世界もまた生々しいんです。

話がずれたので戻します。

すずがすずの姿で歌うシーンは綺麗だったし歌も素敵で感動しました。途中までは。

全員がすずに同調し歌うシーン、極め付けにもう一人の歌姫が歌え!と願うシーン。これ怖くなりました。わかってます。最初のカラオケの歌え!!!と違って、この歌え!は暖かみのある歌えというのは。ただ同調圧力みたいなのを感じて自分が勝手に辛くなったんです。

くじらちゃんかわいいねぇ。細田守作品のくじらちゃんは神様なのかな?

気分転換はおいといて、自分を曝け出す事で竜に居場所を曝け出してもらう。まぁ論理は通ってます。お前は安全圏にいるのに俺だけ危険を冒せと?ただでさえ裏切られ続けたのに、と。

あぁそういえば竜と思いませんでしたが、父親とその2人の息子が映るシーンでこの父親は悪人だなと感じてはいました。確か2人とも父親に目線は合わせていませんでしたから。

この父親は虐待をしているんですが、他の方の感想でなるほどと思ったことがあって、物理的には虐待してないんです。怒鳴るだけで殴りはしない。だから、すずに対しても暴力はできなかった。爪に関してはたまたま引っかかったっぽいですし。だけど心の傷はいっぱいあって、それがアザに繋がっている。今まで現実にアザがあると思い込んでいたのを吹っ飛ばすシーン。それに関しては全然分かってなかったので、細田守と気づいた人すごっと思いました。

だから1日経っていても2人は無事だったんです。

ただ私は気が付かなかったんです。だから、今から行っても間に合わんやろ!!!とか、すずちゃん1人で行かせるのもはぁ!?!?と思いました。行く頃には殺されてるよ!!?とかだって大人の男ですよ!?力できたら勝てませんよ!?

ただ、大人が信用できない竜だからこそすずちゃん1人で行かないといけないんです。そこは論理的にはわかりますけど、わかるけどぉ!大の大人やんで!?なにするかわからんで!?となりました。

こっそり誰かがついてくとか、万が一のために警察呼んでおく、とかしないのかと。

それとあんだけ騒いでたら誰か警察呼ぶやろ、とか、女子高生が血流している時点でただの親子喧嘩ではないだろ、とか。ただでさえ地元の制服ではないですし。東京は冷たいなーとか思ってました。

そうそう、制服で行くのも不味いと思いました。家出とかで補導されると思います。

そんですずちゃんが怪我してるのに誰1人として心配しないんですよ!?竜の子もスルー、クリオネちゃんもスルー、父親でさえスルー、その他全員スルー!!!!

顔に傷とか心配するでしょ、女の子だし。逆にこの女の子だしというのをなくしたかったのかもしれませんね。

他の方の感想だと変に傷に触れすぎるとファンタジー感薄れて生々しくなるからと言ってましたけど、傷に言及しなくても他の部分が生々しいので手遅れです。


この作品の癒しは名前を忘れたけどカヌーの子と最初性格悪いタイプと思ってマジでごめん吹奏楽の子です。吹奏楽の子は前半はストレスの対象ですが、カヌーの子に惚れてるのがバレたあたりから微笑ましくなります。

この2人のおかげで竜は見つかったといっても過言ではありません。音楽聴いて気づくとかやばない?探偵か何か?あとよっぽど印象にのこってたのね、二つのビル。

この2人はこの作品の癒しです。初々しくデートしろよ!

すずちゃんはしのぶくんとは付き合わない方が良いと思います。すずちゃんはしのぶくんのこと好きだけど、しのぶくんからすずちゃんへの想いは恋心か怪しいです。竜の子にしとこうよ。

そう、竜の子。

あの子あの後どうしたんでしょうか。

一応すずちゃんに危害加えた以上父親はしょっぴけると思います。というか、父親がジャスティンと思ったんですけどジャスティンが誰かは明かされませんでしたね。誰なんだよ。

どっちにせよ彼らはどうするんでしょうか。

特に描かれなかったんですよね。

児童保護施設とかに行くんでしょうか。

ベルという支えができた以上精神的には大丈夫といっても、その心配にはなります。


竜とそばかすの姫は良いところはあるんです。映像綺麗だし、歌も素敵、最後は登場人物全員前向けている。

だけど凄いモヤモヤするんです。

現実的な生々しさを題材にしてる作品はあります。聲の形とかヤバかったです。私の心が。

だけどそういう作品はそういう作品だとCMから多少は伝わります。

竜とそばかすの姫はそんなのは感じさせませんでした。

龍はともかく、すずの境遇は入れようと思ったら入れられます。私だったら入れませんけどね、はは。

ようは私はサマーウォーズ的な世界観!細田守の作品の中では好きな方!美女と野獣とかここ最近のトレンド人外と少女的なのを混ぜてきた、どうなる!?と思ってファンタジー!ファンタジー!!!で見に行ったんです。

ファンタジーの中に現実の生々しさたっぷりとか。そのわりに現実部分若干ファンタジーとか。

あぁそういえばベルはあなたは誰?ってめっちゃ聞きますけど、いや、答えないでしょ、と思いました。君の名はかいな。

普通はあなたは何がしたいの?とかあなたの力になりたいの、とかあなたはどうしてそんなに苦しんでいるの?とかまぁ色々あるじゃないですか。

あなたは誰?って身バレがやばいネットの世界では禁句でしょ。そこも結構気になりました。

ようは現実逃避だ!!!ときたのに現実の問題たっぷりで心が沈む羽目になったんです。辛い。

そういやこの現象はプロメアでもありました。

差別のシーンがずーーーっと気になってしまって、あんな差別する市民が能力無くなったって受け入れるわけないでしょと冷めた目で見る羽目になりました。

現実の問題をファンタジーに混ぜるというのはとても難しい事なんだなぁと感じた両作品です。

プロメアは絶賛に対して竜とそばかすの姫は否定寄りが多いのに対して喜びに近い感情を抱いた時、私は自分の汚さを痛感しました。あぁ、Uの嫌なやつと私、おんなじだぁ、理想の自分になれるかもしれない世界でも人が人でいる以上汚いんだなぁ、私もう嫌だよって。

まぁ自分を振り返る機会になったのは良い事なんでしょう。

気分転換に来たのでなければ。



現実逃避の為のファンタジー

なのに現実をより見つめる羽目になってしまった。

映像と歌は素晴らしかったのがせめてもの救い。

竜とそばかすの姫、CDは買うと思います。

なんだかんだいって金曜ロードショーで流されたら見るでしょう。

駄作ではありませんでした。

だけど手放しで傑作といえる作品でもなかったです。

カフェモカだと思って飲んだらコーヒーだった、そんな気分


当たって砕けよう自分。

次の作品はどんな作品か。